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「スターウォーズエピソード7フォースの覚醒」感想(ネタバレあり):世代交代とカイロ・レンの人間性と親子関係について

スターウォーズエピソード7フォースの覚醒を見ました。
見てからだいぶ時間があいてしまったので忘れてしまった部分が多いのだけれども、メモを頼りに感想を書いておきます。
ちなみに劇場で二回見ました。
ネタバレ感想になるのでまだ見てない人は注意してください。
ネタバレOKの人だけ続きをどうぞ。
 
 
 

全体的な感想

エピソード6から30年後の話になる本作。EP4-6とEP7-9の時代の橋渡しになる作品として納得のいく作品でした。映画一本見終わってバトンが渡ったなあとひしひしと感じました。
今までの作品を見なくても楽しめますと書いてあるレビューを読んだけれども、やっぱり今までの作品を見たほうが何倍も楽しめると思います。
今までの作品に出てきたネタが散りばめられていて、それが出てくるたびに高揚します。思わせぶりに昔のネタを出してくるのがにくい。例えばレイたちが宇宙船に乗って逃げ出すシーン。乗ろうとしていた宇宙船が爆発して、しょうがないからあっちに乗ろうと言ってカメラが動いた先に映ったのがミレニアム・ファルコンだった時はテンション上がりましたね。他にもレイの寝床のシーンにはテンションが上がりました。レイの寝床がただの廃墟かと思いきや、カメラが引いた瞬間にAT-ATウォーカーだとわかるあのシーンですね。他にも、ファルコンがつかまって入ってきた侵入者がハン・ソロだったり、ファーストオーダーとの戦いの中、助けに来た宇宙船から出てくるレイアのシーンなど旧作のファンはテンションが上がるシーンがたくさんあります。
もっとも、それが思わせぶりすぎて「お前らこれが見たかったんだろ?感」が強すぎてむかつくといった意見もありますが、私はどちらかというとこれくらいの演出で調度良いと思いました。
 

悪役の魅力について

今回のメイン悪役はカイロ・レンというハン・ソロの息子。レイアがダース・ベイダーであるアナキン・スカイウォーカーの娘にあたるので、カイロ・レンはベイダーの孫にあたるわけです。このカイロ・レンが旧作の悪役と比べてとにかくダメな奴でした。尋問してた捕虜に二回も逃げられるし、苛立った時は物にあたるというダメっぷり。ダース・ベイダーは部下が失敗した時は即部下を殺してて非常に悪役っぽかったけど、カイロ・レンはとにかく物にあたります。ライトセーバーでその辺の機械をめちゃくちゃにしてしまいます。物音に気づいたストーム・トルーパーが何事かと思い部屋の近くまできますが、すぐに引き返すシーンがあります。表情は読み取れないがその姿からは「ああ、またレン先輩のヒステリーだよ。めんどくさいから放っておこう」という思いが伝わってきます。
物語冒頭の、フォースでレーザーを止めるシーンからはものすごい強いやつのように見えますが、終盤では戦闘でもいまいちです。レイとの戦いでは一騎打ちで負けそうになります。レイも常に棒を振り回しているあたり、多少の棒術の心得はあるのかもしれませんが、それにしても素人の女性相手に散々なやられようです。傷のせいなのか、寒いからなのか、自分を奮い立たせているのかはわかりませんが、太ももを叩いているシーン(NONSTYLEの自分をいましめるツッコミみたいなやつ)もかっこいいとはいえませんでした。戦闘中に意味のないところでライトセーバーを振り回す動きをしていましたが、それもまた小物感が溢れてきます。
こんな散々な描かれ方をしているカイロ・レンですが、全部見終わってみると逆に人間味があって好感が持てます。マスクをとった瞬間、なんでこの俳優を選んだのだろうと思いました(色んなところで言われていますが、スターウォーズというよりハリーポッター感が強いんです)が、全部見終わってみるとあの俳優さんがベストチョイスだった気がします。きっとEP8、9でダメな中間管理職からデキる中間管理職になっていくのでしょう。EP7はレイの「フォースの覚醒」であり、レンの「フォースの覚醒」でもあるんだと思います。
カイロ・レンの今後の活躍に期待です。
 

人間関係には外してはならないタイミングがある

カイロ・レン絡みでもう一つ思ったのが、人間関係はある一点を過ぎると修復不可能になることがあるということです。
最後の戦いに出発する前のハン・ソロとレイアの会話です。ハン・ソロもレイアも息子が悪の道に落ちてしまったことに強い後悔があります。ファーストオーダーの最高指導者、スノークへの恨み辛みを言っても息子は戻ってきません。「ルークに預けてもダメだったのに」ハン・ソロに向かってレイアがこう言います。「ルークはジェダイ。あなたは父親よ」と。つまり父親には父親にしかできない仕事があるだろうというわけです。ここは結構個人的に感動ポイントだったんですが、結局父親の力を発揮できずにハン・ソロはカイロ・レンに殺されてしまうわけです。息子を取り戻すというミッションを達成できず、ハン・ソロは殺されてしまうというハン・ソロ夫妻にとっては最悪の結末。この結末をどうにか回避できなかったかと何度も考えてしまいますが、なかなかいい案が思い浮かびません。もうこの時点で時すでに遅し。詰んでいたのではないでしょうか。
今回のスターウォーズで私が学んだ一番の教訓がこれです。「人間関係(とくに親子関係)には踏み外してはならないタイミングがあって、そこを越えると修復不可能になることがある」ということですね。人間関係(とくに親子関係)がこじれはじめたらあのシーンを思い出そうと思います。
まだエピソード8、9があるので、今後あのシーンがどう生きてくるのかが気になります。ハン・ソロを殺したことでカイロ・レンがどう変わっていくかに期待です。あのタイミングで父親ができるベストの仕事がこれだったと思えるような展開になるといいなと思っています。

 

レイの親は誰なのか、なぜあの土地で生活していたのか

レイの親が誰なのかっていうのが今作品の疑問点の一つになっています。ルークが父親っていう説が一番有力ですが、実際はどうなのでしょうか。ルークが父親だとしたらなぜあの土地であのような生活をしていたのでしょうか。映画を見る限りでは砂漠の村の宇宙人商人(アンカー・プルートっていう名前らしいです)に売られたような描写になっています(子供時代のレイが置き去りにされ、親が乗っている宇宙船が飛び立つシーンを思い浮かべています)。今までのエピソードを見る限り、ルークもレイアも実の親に育てられていません。ヨーダたちが二人の身を隠す形で二人を育ての親に預けたわけです。それで二人が預けられた家があの家ってのはまだわかるんですが、レイの場合は廃墟に一人暮らしなわけで、預けたとしてはちょっと環境が悪すぎます。
そもそもレイはあの商人に売られているのでしょうか。子供時代のレイが置き去りににされるシーンでは商人が引き取っているように見えますが、大人になってから生活するシーンを見るとレイの所有者があの商人というわけでもなさそうです。この辺の設定について今度調べてみようと思います。
 

共和国の軍備について

ファーストオーダーが作った新兵器を使って共和国の星々を一瞬にして破壊するシーンがありました。ここで疑問に思ったのが、共和国の軍備についてです。あれだけの破壊力を持つ兵器が作られていることって中々気づかないものなんでしょうか。新兵器の攻撃も、迎撃レーザーとかバリアとかなんか防衛方法は無かったのでしょうか。
ファーストオーダーは帝国軍の残党達ということなので、今は共和国の方が人数も多いんだと思われます。それを考えると軍隊の人数もレイアたちだけでは少ないような印象を受けます。レイアたちの軍以外の共和国軍はどうしているのでしょうか。何か別の作戦に参加中なのでしょうか。
この辺りの軍備の設定の詳細が知りたいです。
 

まとめ

駄作っていう声もあがっていますが十分面白かったし納得のいく作品だと思います。
毎回スターウォーズ見るたびに思うんですけど、冒頭の「ジャーン!」って音とともに前回までのあらすじが流れるシーンが一番感動しますよね。いきなり前回までのあらすじを文字で説明するのってある意味反則技だと思いますが、これこそスターウォーズの魅力の一つですね。他の作品ではあまり見ませんが、こういう演出ってあるんでしょうか。
今回の公開を期にエピソード4-6、1を見直しました。近いうちに2、3も見ようと思っています。機会があれば感想を書きます。