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方向転換しまくりミステリー『その女アレックス』(ネタバレなし感想)

普段ミステリーは読まないのだが今回たまたまこの本を読むことになった。
本屋で平積みになっているのを見つけ手にとった。のめり込めるような面白い小説をネットで探していた時にタイトルを目にしていたので覚えていたのだ。縛られた女性の絵が表紙に描いてある。帯には「逆転、慟哭、そして感動。今年最高の話題作!週刊文春ミステリーベスト10第1位!」とあり、さらに裏には「3つのミステリーランキングで第1位。」「読み終えた方へ:101ページ以降の展開は誰にも話さないでください」とある。
ちょうどシャマラン監督の映画『ヴィジット』を見たばかりだったので、さらにツイストの効いた作品を読みたいと思い買ってみた。
 
物語はアレックスと呼ばれる女性が誘拐されるところから始まる。その後カミーユという警察が出てきて誘拐事件を解決に導こうとする。アレックスは脱走を試みる、カミーユはあの手この手を使って犯人を追いつめる。犯人は捕まり一件落着。そういうお話かと思ったら序盤から方向が変わってくる。
これ以上は約束の「101ページ以降の展開」の説明になってしまうので詳しく言えないが、最後の最後まで引っ張ってどんでん返しがあるというよりも序盤から話がどんどん違う方向に行く小説だ。右折左折を繰り返して最終的にどこにたどり着くのかわからなくなる。もちろんいい意味でだ。これだけ方向転換をしまくっているというのに、読み終わったあと頭がこんがらがらない。筋は非常にわかりやすいのが素晴らしい。
 
読み終わってから気づいたのだが、冒頭の登場人物紹介に誘拐犯が誰か書いてあった。ここからもわかるように、この小説は「犯人がでてきました。捕まえました」という小説ではないのだ。犯人がわかっていても楽しめるということだろう。
 
普段ミステリーを読まない僕でも楽しめた。ミステリー愛好家はこのストーリー展開に関してどう思うのか意見を聞いてみたい。
少しグロテスクな描写が多いので、そういうのが大丈夫な人かつ少しひねりの効いたミステリーを読みたい方にオススメの作品。

 

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)